リドリー・スコット監督の『エイリアン』(1979年)に好きな場面がありまして、逃げるリプリー(シガーニー・ウィーバー)を通路の先でエイリアンが静かに待ち伏せしているところなのですが、得体の知れない相手に知性があるかもしれない恐ろしさの演出が、…
監督:黒沢清以下は『ドッペルゲンガー』を反芻しながらのとりとめのないメモです。早崎が最初に自身のドッペルゲンガーに遭遇する喫茶店の場面の切り返しが変だった。 夕飯を食べていてナイフを床に落とし、それを拾うために屈んだことで、向こうの席に何か…
ネットで『ドッペルゲンガー』(黒沢清監督2003年)を検索したらコメディ/ファンタジーに分類されてたんですが、『パディントン』と同ジャンルなんですか?モダンラブ・東京『彼を信じていた十三日間』の主演キャストが永作博美さんとユースケ・サンタマリア…
黒沢清映画の黄色についてです。 ツイッターで、モダンラブ・東京『彼を信じていた十三日間』の黄色(壁・マグカップ)と『回路』の黄色(ミチの部屋・車)の共通点をあげていた人がいて確かにと思ったのですが、じゃあその黄色ってどういう意味があるんだろ…
『岸辺の旅』(2015年)から、急にどうしたんだと戸惑うぐらいの頻度で切り返しショットを多用している黒沢監督です。 ずっと気になってはいたのですが、ザックリと、黒沢清はスクリーン(あるいは画面)をハーフミラー(あるいは水)の機能を持ったものと考…
「モダンラブ・東京」『彼を信じていた十三日間』 監督:黒沢清農水省役人(國村隼)の「それ前にも聞かれました。私ちゃんとお答えしましたけど、憶えてらっしゃらない」という場面をどう見たかでこの物語の解釈は違ってくる。 黒沢清作品をそれなりに見て…
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』を見ている。 「モダンラブ・東京」ep5「彼を信じていた十三日間」も見た。
このことについて書いている人を見かけたことがなかったので、一応書いておこうと思います。私たちは岸辺にいて、とあるビンを拾います。 そこには手紙が入っていて、書き出しはこうです。 「ある日それは何気なく、こんなふうに始まったのです」 そして結び…
『LOFT』を後々一本の記事にまとめるつもりで資料に当たっています。 この映画に関しては、黒沢清監督がデイヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』(2001年)をあげて「デイヴィッド・リンチもああいうのをやっているんだから、(自分も)やって…
監督:黒沢清この映画は、社会に染まりきって何の疑問も持たず安寧に暮らす上の世代に反発を抱いていた若者が、友人の父親と関わることで少しずつ反発心が瓦解し、彼らに続いてこの社会で生きていくのも悪くないと、自身を取り巻く世界を受け入れる萌芽を描…
監督:黒沢清 ちょっと前に久しぶりに『CURE』(1997年)を観た。なんとなくまた色々考えたので書いてみようと思う。過去の記事と矛盾する部分もあるが、今思っているところを記録するのが目的なので矛盾は矛盾のままにしておく。 高部が最終的にどうなったの…
監督:リドリー・スコット カルージュ(マッド・デイモン)、ル・グリ(アダム・ドライバー)、マルグリット(ジョディ・カマー)、それぞれの視点で事実は描かれるが、それぞれの真実は異なる。真実を社会に問えば、その社会構造における弱者の主張する真実…
監督:黒沢清無謀にも『LOFT』について考え始めてしまい、行き詰っている。 なんとなく『LOFT』を見直して、吉岡(豊川悦司)の回想場面前のショットのつなぎの奇妙さと、礼子(中谷美紀)が東京と郊外の屋敷を簡単に行き来していることが気になり、考え始め…
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 公開中に観ようと思っていて、なんだかんだで忘れていてアマプラ特典にラインナップされていたので先日観ました。 映画館で観れば良かった!エマニュエル・ルベツキの撮影が凄まじかったですね。冒頭からアク…
監督:黒沢清『スパイの妻』を見て、黒沢清監督の映画をそれなりに真剣に見てきた人はなにが気になっただろうか。 そんなことが気になる。 とにかく、私は色々気になった。主演の二人のクラシカルなスタイルの演技は今までの黒沢映画には無かった試みだ。あの…
黒沢清監督の『叫』(2006年)で、主人公の男(役所広司)がいよいよ前後不覚に陥り、女がすでに死んでいることにふと気がついた時、なぜだか「そりゃそうか」という気持ちになった。 前後不覚になるほど男が苦悩する世界では、とっくに女は死んでいる。それ…
監督:黒沢清『アカルイミライ』に関しては、この記事を書いた後にも考えが進んで別記事にまとめています。 最新の記事は、こちら stevenspielberg.hatenablog.com 『アカルイミライ』を書こうと思ったのは、黒沢監督がネット番組(シネマトゥデイ2018年10月…
監督:大友克洋2018年の年末ということで、『AKIRA』を久しぶりに観ました。 来るべき2019年。ネオ東京。ドーン。 前々から思っていたのですが、金田って何者なんでしょうか。 金田は主人公なので、あらゆる場面に登場して行動を起こしますが、彼の行動によ…
この記事は、『エクソシスト/ディレクターズ・カット版』を見て書きました。監督:ウィリアム・フリードキン この映画には因果が描かれない。 物語は、偶然の一致で繋がっている。 超自然的な偶然の一致の数々を知るのは、登場人物の誰でもなく、鑑賞者であ…
監督:黒沢清 「ある日それは何気なく、こんなふうに始まったのです」映画冒頭のミチ(麻生久美子)のモノローグ。「こんなふうに」とは、彼女の同僚田口(水橋研二)の自殺を指している。田口の家の中に、黒沢監督映画に頻出する半透明のビニールの間仕切り…
監督:スティーヴン・スピルバーグ 3千年紀の始まりに公開された、母の愛を求める少年型ロボットの冒険物語について、私はまだ何も理解していない。 この映画は、「ピノキオ」がストーリーの下敷きになっていると言われているが、それがカルロ・コッローディ…
監督:リドリー・スコット『ブレードランナー2049』(2017年)が間もなく公開されます。ということで、SF映画の金字塔『ブレードランナー』を見直してみようと思います。 はじめに この映画は、「リサーチ試写版(ワークプリント)1982年」「オリジナル劇場…
監督:小津安二郎 最近、神話系映画を立て続けに見ているので、少し気分を変えようと思い、『東京物語』を見てみました。神格化されている、と言っても過言ではない監督の代表作なので、どのタイミングでこの映画を見るかは、密かな課題だったのですが、努め…
黒沢清はイングマール・ベルイマンに似ているとよく思う。 黒沢清の著作物や、黒沢清について書かれた本の中で、ベルイマンについての記述を読んだ覚えはないが、(『恐怖の対談―映画のもっとこわい話』(青土社 2008年)で、テオ・アンゲロプロスがベルイマ…
監督:黒沢清 ネタバレあります。お正月休みに『ヴァンパイア/最期の聖戦』(1998年)を見ていて、『クリーピー 偽りの隣人』が吸血鬼映画だったことに遅ればせながら気づいたので書いておく。 以下は、『クリーピー 偽りの隣人』と吸血鬼映画の分かりやすい…
監督:黒沢清 黒沢清監督作品については色々とこのブログで書いていますが、『叫』は観ていませんでした。いいタイトルです。まるで名作古典映画のようです。 コンクリの壁から葉月里緒菜さんがコンニチハしている写真をどこかで見て、コメディなのかなと思…
監督:黒沢清 CUREという言葉には、癒す・治療するなどの意味がある。 なぜ、この言葉が映画のタイトルになっているのだろうか。まずは、癒しや治療を担う機関である病院とCUREについて書いていきたい。 とにかく病院が良く出てくる映画である。 以下に、『CU…
監督:黒沢清『CURE』のレビューを読んでいると、映画の雰囲気が前半部と後半部で違う、という印象を持った人が少なからずいることがわかる。 実際『CURE』の後半部は、前半部に比べ短いショットが多くなり、ショットや場面のつながりが分かり辛くなり、ロケ…
監督:黒沢清 前回の記事で、『CURE』について書かない、と書いたが書くことにする。 前回の記事以降も『CURE』について考えていたら、映画の中で描かれていることで、具体的に説明できる事柄がいくつかあることに気づいた。 具体的に理解したところで、映画…
今、集中してスピルバーグ監督作品を観ているのですが、全監督作品観賞の道は険しいです。『1941』(1979年)や『カラー・パープル』(1985年)や『オールウェイズ』(1989年)あたりに手が伸びないです。逆に『未知との遭遇』(1977年)や『A.I.』(2001年…