映画を書くと頭が疲れる

観るものです。

『リュミエール!』(2017年)を見た!

監督:ティエリー・フレモー

f:id:stevenspielberg:20171030173616j:plain

リュミエール!』を見ました!
感嘆符が相応しい映画です。

私は子どもの頃、何か面白いものが見れないかなと思って、よく家のベランダに出て、外を長時間見ていました。『グラン・トリノ』(2008年)でポーチの椅子に腰掛けて外を見ているイーストウッドを見て、同じようなことをしている、と思ったものです。

具体的に何が見たい、というのは無かったのですが、野良犬に追いかけられている人とか、大きなトラックが走って行くとか、珍しいものといってもその程度なんですが、そういうものを見ると、今日は良いもの見れたな、と思うわけです。(ちなみに外を見ていて見れたもので、一番凄かったのは、空を落下する火球です。)

リュミエールの映画には、そういう見たいものが全部あります。
見たかったものを、リュミエールは気づかせてくれます。

実際に数日前にあった決闘を再現した、『ピストルによる決闘』(1896年)の、「皆さん見てないでしょう、見たいでしょう、これです。」みたいな、人が見たいものを余すことなくすぐ見せるフットワークの軽さで、『工場の出口』のような、生理的な見る欲求に忠実な映画や、『水浴』のような蠱惑的な反復。タイトル分かりませんが、画面を斜めに横切る境界の右側に川があり、その川で馬とアヒルが競争していて、左側の岸で人と犬が右往左往している、何をどう見ればいいんだと混乱させられる不条理もの。『金魚鉢の中の金魚』(1895年)の丸い金魚鉢の中の金魚たちの無軌道な動き。『セーヌ川から撮影したエッフェル塔』(1897年)のような、動かない巨大建造物をセーヌ川の流れの動きで見せる美的感覚。

とにかく人も街も絶えず動いています。カメラの前で止まりそうなものがあったら、リュミエールのエージェントが押して動かしますからね。『ピストルによる決闘』でも撃たれて死んだ人は、すぐ運ばれて動かされます。
リュミエールの映画では、たとえ死んでも止まれません。

そして、それらはどれも見ていてとても気持ちがいいのです。
ノーストレスかつ、生理的な見たいという欲求にダイレクトに応えてくれる映画ばかりです。
ティエリー・フレモー監督には感謝しかありません。

多くの人にリュミエールの映画を見て欲しい。そして、映画の始まりとしてだけではなく、映画の原子としてリュミエールを見て欲しい。そして、そういう映画を求める人や作る人がいっぱい出てきて欲しい。

映画は、人の見たいという生理的な欲求に叶ったものなんだとつくづく思いました。

リュミエール!』素晴らしいので、みなさん是非見ましょう!