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映画を書くと頭が疲れる

観るものです。

『セッション』(2014年)感想・ネタバレ

監督:デミアン・チャゼル


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妄執というものは大概一人で抱えていて他人と共有出来ないものですが、この映画では運命的な出会いによって師匠と弟子が妄執を共有し、世界をよそに突っ走ります。このような場合に想定されるゴールは、世界が2人だけのものになる、2人だけで世界が出来上がる、みたいなところだと思うのですが、ラストの演奏場面は正しく世界が2人のものになっていました。
また2人の妄執と、そこから生まれる怒りを高いテンションと集中力に変えて一気に昇華させて見せることに成功しています。
ラストの演奏に到達するまで繰り返される師匠の容赦ないダメ出しと弟子の向上心を越えた怒りに晒され続け、フラストレーションを相当溜め込まされた状態で観るので、最後は自動的にカタルシスを感じられる作りになっています。

弟子が一時ドラムから離れてクールダウンしようが、師匠が学校という狭い世界の権威じゃなくなろうが、彼らは環境やタイミングなど関係無しに妄執を持った人間として描かれています。いつどこにいようと彼らはああなのです。2人が揃うと際限なく煽りが始まり、煽りに対する怒りが高まり、2人はどんどん加速していきます。最初の加速では、スピードを上げすぎた弟子がトラックに側面衝突されて血まみれになり、それを見ても煽りを止めない師匠に弟子が殴りかかるのですから無茶苦茶です。

トムとジェリーみたいなシンプルな話です。それをそのままシンプルに撮っています。
舞台向きの話だと思いますが、終り方だけは映画でしか出来ない表現になっていました。2人の世界が完成したところでスパッと終了しています。この終わり方が一番の見所です。

あと、アンドリュー・ニーマン役のマイルズ・テラーが浅利陽介に激似です。