映画を書くと頭が疲れる

観るものです。

『気狂いピエロの決闘』(2010年)感想・ネタバレ

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監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
スペイン映画

日本では、「三大映画祭週間」(カンヌ、ベルリン、べネチアという、世界最高峰の映画祭(三大映画祭)から選びぬかれた日本未公開作品を集めて公開する)で2012年に上映されたようです。

11月公開の映画で『スガラムルディの魔女』(2013年)が気になり、他はどんなの撮ってる監督なのかな、とフィルモグラフィを見ていたら、『ビースト 獣の日』(1995年)の文字。これって、あの『ビースト~悪魔の黙示録~』のことだろうか、と思ったらやっぱりそう。『ビースト~悪魔の黙示録~』のVHSのジャケットの表面と、裏面にある劇中のいくつかの場面写真のセンスの違いに違和感を覚えてレンタルした遠い昔を思い出しました。
『1999年監督映画『どつかれてアンダルシア(仮)』では『タイタニック』(1997年 監督:ジェームズ・キャメロン)のスペイン国内における興行収入記録を超える大ヒットを記録。』
なんて記事も芋づるで出てきて驚くばかり。『ビースト~悪魔の黙示録~』作った人、活躍してたんだな。

ということで嬉しくなって、早速『気狂いピエロの決闘』を観賞。
これ原題は『最後のサーカス』なんですが、随分親切なタイトルなのに邦題は変えているんですね。数少ないネット上のレビューを読んでも、邦題に引っぱられてしまっている人が結構います。

あらすじ
1937年スペイン マドリード
どこからともなく聞こえてくる子供たちの笑い声。
内戦の最中に子供たちを笑わせているのは、サーカスのおどけピエロと泣き虫ピエロによる曲芸だった。戦闘の音が聞こえると、途端に怯え、身を縮める子供たちの緊張を解きほぐそうと懸命にふざけ合う二人のピエロ。
そこへ突然共和国軍が現れ、サーカス興行は中断させられてしまう。共和国軍は、ピエロや他のサーカス団員に兵士として今すぐ戦闘に加わるよう命令。反抗的な態度をとった泣き虫ピエロを銃で殴りつけ、恐怖に怯える団員たちを戦闘に駆り出そうと、無理やり連行しようとするのだった。
おどけピエロの息子ハビエルは、連れ去られる父親について行こうとするも、父親に諭され、誰も居なくなったサーカスに一人取り残される。

戦闘により足を負傷したおどけピエロは、そのまま戦闘中に気を失い、気が付くと反乱軍に囲まれていた。サーカス団員が加わった戦闘は、気を失った彼一人を残して、敵味方共に全滅してしまったらしい。遅れて到着した反乱軍の別部隊に、一部隊を全滅させた者との罪を着せられ、そのままおどけピエロは囚われてしまう。

一方、ハビエルは父を捜して街を彷徨い、囚われた父のもとに辿りつく。しかし父親から「心配いらない直ぐ戻る」と言われ、その言葉を信じたハビエルは再び父親のもとを離れてしまう。
だが、内戦は反乱軍の勝利に終わり、終戦を迎えても父は戦犯として囚われ続けることになるのだった。

囚人として強制労働させられ続ける父。ハビエルは、強制労働の持ち場が変わるタイミングを見計らって収容先を訪れ、父親と再会。やつれた身体を心配するハビエルに、父親は「まるで貴族のような待遇だった」とおどけてみせる。
将来どうするつもりか、との父の問いに、祖父や父と同じピエロになるつもりだと答えるハビエル。父はハビエルに「ピエロをやるなら泣き虫ピエロをやれ、悲しみを知りすぎたお前に人は笑わせられない」「幸せになりたかったら運命の裏をかけ。復讐しろ」と告げるのだった。
その後ハビエルは、父の強制労働先に侵入し、ダイナマイトを爆発させ、混乱に乗じて父親を連れ出そうと目論む。しかし、元反乱軍の大佐に阻まれ、父親も殺されてしまう。
1973年、ハビエル(カルロス・アレセス)は泣き虫ピエロとなり、サーカス団に入団。そこでハビエルはリボン・アクロバットのナタリア(カロリーナ・バング)に一目惚れ。しかしナタリアは、おどけピエロのセルヒオ(アントニオ・デ・ラ・トレ)の恋人だった。
ハビエルの相方となるおどけピエロのセルヒオは、このサーカス団の一番の稼ぎ頭で、やりたい放題。団長に楯突き、酒を飲むとナタリアに容赦ない暴力を振るっていたが、団員の誰もが見て見ぬふり。ハビエルはセルヒオを恐ろしいと思いながらも、ナタリアを救おうと一人立ち向かうのだった。そして、その対立はいつしか狂乱の決闘劇へと発展していく。


コメント

意図的なあらすじを書いてやりました。
スペインのフランコ政権下を舞台に、美女ナタリアを巡る、おどけピエロと泣き虫ピエロの決闘劇という演目が繰り広げられます。ラッパの殴打音で幕が上がったり、おどけピエロの小道具である水の代わりに血を吹き出したり、傍から見たら狂人同士の殺し合いなのですが、これはサーカスなので、サーカス団員も全員参加します。父親の最後の曲芸は内戦で中断し、その中に取り残されたハビエルは、祖父と父から受け継いだサーカスを終わらせるために泣き虫ピエロを演じきります。ハビエルにとって、セルヒオは最後のサーカスに相応しい最高の相方なのです。
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と、力不足のため、矮小化した感想が精一杯です。
短いカットで息つく間もなく物語は進み、加えて情報量も多く、見るのに精一杯でした。駆け抜ける泣き虫ピエロのハビエルが唯一足を止めたのが映画館で、もう、ハビエルの焦燥とカットが切り替わっても途切れない緊張を感じとれればそれでいいのかもしれない、と思ってみたり。
カテゴライズするなら、スプラッタアクションホラーでもいいのでしょうが、それにしては随分ロマンチックな映画です。
唯一の息抜きポイントは、『ビースト~悪魔の黙示録~』でもそうだったのですが、アイロンが常に凶器として使われてるところ。この映画では、加えて人体改造器具としても使われます。広がるアイロンの活用領域。『オックスフォード連続殺人』(2008年)を続けて観る予定なのですが、アイロンがどう使われるのか楽しみです。